『名前をなくした女神』(フジテレビ)
ドラマのええとこ、それは何やろね?て考えたら、おそらく、最終回があるゆうことやろか。どないに怖い話でもさいごは「めでたしめでたし」てなる、いやそんな単純にならん話もおますけど、まぁそれなりのオチはつく、ゆうことは分かってますわ。このおやくそくがあるさかい、観る方も安心してみてられるし、書かはる方もなんぼでもえげつないスジ、考えられる。ゆうたら、お化け屋敷みたいなもんやね。かならず出口があるゆうことが分かってるさかい、思いきし怖がったり怖がらせたりできるゆうわけです。
このお話の舞台は、いわゆる「お受験」やら「ママ友」やらちゅうところの、この世の地獄や。実人生のそれはあまりに恐ろしゅうて、ゆうたら出口のないお化け屋敷みたいなもんやさかい、ドラマゆうことにして供養してあげましょてゆう、てれびのかみさん(佛さん?)の有り難いおこころざしですわ。なんなんだぶ、なんまんだぶ。
それにしても世の中にはまぁ、芸達者なこましゃくれたガキが、よおけいてるもんですなぁ。こんなしっかりしたお子たち、別に学校みたいなもんどこ入ったかて、どこでもたくましゅう生きていけるさかい安心やけど、小学校受験みたいなアホらしいもんに右往左往してる母親のこと心配して、いやが上にもますます早う成長せなあかん。そこがたしかに、不憫ゆうたらふびんですわな。
「名前をなくした女神」ゆうのんは、ママ友どうしがお互い「○○ちゃんママ」みたいな子供の名前で呼び合う、ゆう現代風俗から来てるタイトルやけど、こんなもん、もともと日本では、子供がでけたら夫婦は「おとうちゃん」「おかあちゃん」てお互い昔から呼び合うてたさかい、別に不思議でも何でもあらへん。自分の子ぉ受からすために他人の家庭おとしいれたり、預かった人の願書破いたり、もう悪事のかぎりを尽くしたママ友同士が、最終回では涙流して、ごめん私が悪かったわ、ゆうて許し合うのが不自然とお思いの方もいはるかもしれんけど、それもお化け屋敷の出口やから、唐突でええんです。
おカンがいとも簡単に鬼から神さんに転じるゆうのんは、世のつねですわ。訶梨帝母(鬼子母神)ゆう神さんは、おのれも人の子の母でありながら、他人の子ぉを捕まえては喰うとったさかい、お釈迦さんがついにキレて、お前ええかげんにさらせ、ゆうて、訶梨帝母のいちばん可愛がってた末の子を隠してしまはったら、すんませんでした、これからは子供の守り神になります、ゆうて仏教に帰依しはった。おかんちゅう存在はかくも、あっさりしたもんなんや。勉強になるわ。六根清浄。
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