このブログに書いた記事をニュースサイトなどに転載させてほしいという依頼が、最近ツイッターやメールでよく来るようになりました。だがもうしわけないことに、まだ一度も返信したことがありません。失礼の段があればどうかお許しいただきたい。返事をしなかったのは、転載されるのが嫌だと思っているからではなくて、何というか、なんとも返事のしようがないと感じたからなのです。そういうのは、ぼくが許可を与えるようなことではないと思っているからです。
ネットに書いている以上、テキストは原理的にリンクやコピー・ペーストに開かれているのであり、やりたければ勝手にやればよろしい。それによって何らかの利益が生じることがあっても、それはぼくの関知するところではありません。してほしいのはただ、著者名と出典(このブログのURL)をクレジットすること、明白な誤字脱字や誤変換の訂正以外は内容を改変しないこと、これは契約とかルールとかいう以前の、当たり前のことです。ぼくのテキストに関心を持つレベルの人は、当然そんなことはご承知だと信頼しています。だからぼくはわざわざチェックする気はないし、その時間もありません。
ぼくは「ネットに書く」こととは基本的に、未知の誰かに向けて「贈る」ことだと思っているのです。それは、誰が見るか分からない場所に無断で文書を張り出したり、瓶に手紙を入れて海に流すようなことなのです。後者はちょっとロマンチックすぎる比喩ですけどね。とにかく、これらのテキストは無償であり、受けとることに許可は要りません。だからといっていい加減に書いているわけではなく、紙の媒体に書く場合と同じように真剣に書いており、内容には責任を持っています。こういう考えですので、今後は転載されたい場合、わざわざお問い合わせをしていただく必要はありません。そのようにご承知おきくださいますようお願いいたします。